幼年期の終わり

光文社版 幼年期の終わり

ここ 1 週間で、アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』を読んだ。
何となく暇だったので、本を読む事にした。何を読んで良いのか分からなかったので、個人的に信頼を置いている光文社 古典新訳文庫からチョイスした。

突如、世界の主要都市に高度な文明の象徴である宇宙船が現れる。彼らとコンタクトを許されているのは、国際連合事務総長のみで、国連事務総長を通じて、世界を支配していく。しかし、その支配は、戦争が無くなり、国家・人種同士のいがみ合いが無くなる平和的なもので、ほぼ世界中の誰もが、彼らの支配を歓迎していた。さらに、人類の行う事に対して、彼らはほとんど干渉する事が無く、人類の自由な成長を見守るだけであった。彼らは何物なのだろうか、彼らの目的は何なのだろうか?

それとなく読んで面白そうだったので、購入を決意。読んでみると、平易な文章で分かりやすく、想像力豊かな文章が凄く良かった。クラークは、全く知らなかったのだが、SF 映画史上歴史的記念碑である『2001年 宇宙の旅』の原作者でもあるらしい。

『幼年期の終わり』は、3 部構成の SF 小説である。1953 年に執筆されたのにも拘わらず、現代にも通用する素晴らしい完成度であった。途中、最新通信機器が FAX などという今から見るとお茶目なシーンがある(当時は、コンピュータなんてものが想定すらされていなかったのだろう)が、ラストに向かって突き進むシナリオの推進力や、豊かな創造性(スケール感)は今も色あせていない。
「家畜化する人類」、「進化」、「異星人とのファーストコンタクト」、「宗教と科学、理性と感性」、この辺りのキーワードがほどよくブレンドされどれもが複雑に絡み合い、衝撃のラストを迎える。

第 1 部の導入部分で恐ろしくインパクトのある内容に釘付けである。しかも、それなりに理路整然としていて、読み応えがある。途中、少しだれる部分もあるが、最後の第 3 部のスパートは凄い。一気にラストまで駆け上がります。 最後のシーンは、儚くも美しい終わり方となっており哀愁があってとても良い。

いやー、SF って良いもんですねー。想像力豊かな文章って素晴らしいですねー。


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