ブレストの乱暴者

多分、僕らは、長く生きるにつれ、多くの先入観や固定観念に犯されている。

TV、新聞、電車のつり革広告はプロパカンダで充ち満ちているし、短時間で理解できるようなことしか云わない多くの演説は、尤もらしいことは尤もらしく、如何にも不適切と思われる部分は不適切にとステレオタイプな事この上ない。

ジャン・ジュネの『ブレストの乱暴者』を読んでいるが、倫理観の倒錯した非合理な世界を浸っていると、人の内面を鋭利に切り取ったかのようで、ある種の奇妙な説得力がある。

人は合理的に生きていると信じて疑わない生き物であるが、実は、自身を省みると、非合理で、嘘無しには生きていけない悲しい存在なのである。そして、生き物中で、その自分自身の存在を、人間だけが省みる事が出来る。そう言う奇妙な生き物なのである。

ジュネにそう言い聞かされているような、不思議な気分になる。
ただし、読み終えるのにかなり時間がかかりそうな、そんな感じがする。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)