蝿の王

蝿の王
Load of The Flies…

『薔薇の名前』届く。
装丁が美しいね。
ぱらっと見た感じだと、なんか難しそう ^^;;
まぁ、神学と哲学と記号論とかソー言う言葉が踊ってるので、頑張って読んでみようと思います。

ゴールディング『蝿の王』
人間が理性を保つのはいかに難しいかを解いた寓話的小説。
概要は以下のようなものだ。

核戦争で、少年達は飛行機に乗って、イギリスから脱出する。
そこである島に、墜落してしまう。(操縦員は死ぬ)
その島は、意外に住み心地が良く、食べ物(果実)、飲み物(水)に不自由しない島であった。
その中で、少年達は自由奔放に生きる。
しかし、ある日を堺に派閥が生まれることになる。
理性を重視ししその島から脱出を第一に考える少年達と、
欲望の赴くままにその島で暮らそうとする少年達とである。
理性を重視していた少年達が大多数を占めるが、
衝突を繰り返すうちに、多くの少年が欲望にと取り込まれてしまう。
最後に、欲望チームは、理性チームの人間狩りをして楽しむようになる。

ある種の狂気がそこにはある。
集団化の恐ろしさ。理性と欲望は実に微妙なバランスで成り立っていること。暴力によって人が感じる開放感など、様々な要素が、かなり綿密に書かれている。
最後のシーンが非常に印象に残った。
初めの方のシーンで、少年達の一部で、以下のような事を語り合う。
「大人達がいれば、物事を簡単に取り決めて理性的な方向に進むことが出来る」と。
そして、最後シーン。
人間狩りを行っている最中、”大人達”の軍艦がたまたま通りかかることになり、皆助かることになる。
ここで登場する軍艦は、大人達が利用する”人間狩り”のための道具であり、実は、そう言った危うい原則に、”大人達”も縛られている。
という象徴的なシーンだ。

理性チームの隊長は、このようなことを言う。
「初めはうまくいっていたんです。初めは……」

歯車がかみ合わなくなると、とたんに坂を転がる石のように加速度的に、自体はおかしな方向へ行ってしまう事は良くあることだ。こと欲望が絡むとそうなりやすいのではないだろうか とそんなことをつらつらと考える秋の夜長。