二人の証拠、第三の嘘

二人の証拠 第三の嘘
All the hate that feeds your needs
All the sickness you conceive
All the horror you create

アゴタ・クリストフ『二人の証拠』、『第三の嘘』を読了。
最後は、とても悲しい結末だった。
でも、或る意味で幸せ?
分からない…。
最終章『第三の嘘』で全ての構造が明かされることになるのだが、これがまたビックリするような仕掛けで、根本を覆すような代物だった。
しかし、全体に漂う統一感のある凍てつくような冷たいカラー。
それでいて、各小説ごとに雰囲気が違う。
社会全体に漂う悲壮感、倦怠感。
鋭いことを言ってのける説得力。

「戦争は終わった。自由な社会だ。」
と言うような内容の記事が大量に印刷される。
しかし、社会にあるのは喧噪と嫉妬と暴力がますます激しくなるばかり。
しかも、そのあり方が、ますます陰湿になっていく。

僕らの社会のあり方は本当に自由なのだろうか。
現代社会という安全地帯の中で単に住まされているに過ぎないのではないだろうか。
愛しているから何をしても許される?
親なら絶対に正しい?
嘘だからと言って必ずしも間違っているとは限らない。

そりゃ、今の生活が悪いというわけではなくて、良い面もあると思う。
そう悲観的になる必要は確かにない。
でも、疑う機会を持つのは大切だ。