小説版マイノリティ・リポート

うーん、映画と大分話が違うぞ…。

短編小説だからか、ディック作品の割に結構あっさりした内容
だった。結末が、映画は如何にもアメリカの娯楽映画らしい終
わり方だったのに対して、小説版はディックらしい皮肉に飛ん
だ終わり方だった。また、主人公の扱いが、映画版はみんなが
如何にも好みそうな人物像(家族思いで、情熱的且つ感傷的で
正義感があり、行動力があるが、欠点も持ち合わせている)で
分かりやすいタイプだったのに対し、小説版は、少し違った
癖のある性格を持った感じだった。まぁ、こう考えてみるとそ
もそも原作者 と 監督 が違うという事で、その世界の神が異な
るのだから、出力される情報も異なるのかも知れない。

ちなみに、どっちが面白かったかというと、映画版かなぁ とい
う印象。小説版はキャラクターの掘り下げが若干甘く感じた。
結末から受ける後味の悪さが、小説版の評価を下げた原因でも
ある。未来を事前に知る事が出来、犯罪を予防できるシステム
(予知能力者 = プレコグ )が、どの程度有用かと言うところを
実例を持って示せていないと言うのも小説版の劣るところだ。
映画版は、序盤にどういう仕組みで犯罪を予防しているかを示
している。まぁ、小説版が全然読む価値がないかというと、そ
う言うわけでもないのではあるのだが…内容の深さ(ディープ
さ)では、小説版の方が良い。不安感、不信感みたいな要素が
よく示せているので。

今回は、原作至上主義の私も映画版に軍配を上げさせてもらう。


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