ムンク展

数日前に、国立西洋美術館ムンク展行ってきた。

とりあえず、少し前に集英社の美術名鑑を読んでいた為、基本事項は学習済みで、結構愉しめた。

ムンクは、ノルウェーの画家で死や絶望感や愛などの人間に深く関わるテーマを重視した表現主義の先駆者である。表現主義は、デッサン力や写実性を重視するのではなく、物事を通してその裏に隠された魂の本質を描こうというスタイル。特徴的なのは激しく鮮やかな色彩と要約したテーマ性、艶めかしい形態などである。

個人的に観たかったのは『マドンナ』、『不安』である。『叫び』、『少女』はきていないのは分かっていたので、まぁしょうがない。

『マドンナ』は悲壮感溢れる表情が素晴らしい、そして、この世の全ての悲しみを受け入れるが如く深い包容力と女性ならではの曲線美が何とも言えない。周りに宇宙人のような胎児と精子が額縁の如く彩られている点も見逃せない、生と死のコントラストである。閉じた目は、内なる世界へ向けられているとも言われている。

また、ムンクの描く女性は黒髪でしなやかな長髪の女性が多い。ムンクは、黒髪の女性を好んだのであろうか? とそんな事も思った。

『不安』は、空の色がかなり特徴的だ。また、皆が潜在的に持ち得る社会性、他者との接触(=不安)を象徴的に表現している様に思われた。また、生で見ると、絵の具の塗り方のいい加減さ? がかなり独特の味わいを醸し出している事に気付いた。”白”の部分が多いのだ。この辺りも不安感・不安定さ?を醸し出している一因なのかもしれない。

他にも素晴らしい画が沢山あった。なんと108点である。ムンクは、版画や石版画にも力を入れており、油絵と同じテーマを丹念に何度も描き続けた。そんな一面も見る事が出来る。

ムンク展を見終えた後、常設展も見てきた。久しぶりに見たが、さすがは松方コレクションである。一点一点センスが桁違いによい。また、一点しか無いが、モローの画(たしか、『獄中のサロメ』)が見られたのも良かった。ロダンの彫刻も沢山あり、満足である。オルフェウスがおいてあったのもいまさらながら発見した。最近ファンになった、ピカソの絵は改装中のため閲覧できなかった。アールヌーボー調の絵画があったので、その解説を読んでみると、ジャポニズムやアールヌーボーというキーワードが書いてあったので、思った通りだったので、満足である。

絵画も勉強してから見ると、違った観点で見る事が出来たので、良かった。


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