『電力会社:ファクトリーマネージャー(Power Grid: Factory Manager)』
2009 年作。『電力会社』のスピンオフ作品。
基本的な構成は、競りと個人ボードのパラメータの調整を行うゲーム。
インタラクションは相当間接的となっている。近年、この手のゲーム多
いですな。気のせい?
ゲームの基本的な流れは以下の通り。
1.手番の入札
2.市場へ機械の配置
3.機械の購入 (季節労働者を雇う事も出来る)
4.パラメータの調整及び電力価格の設定
5.収入の計算
これを 5 ターン繰り返し、勝者を決める。勝利条件はとにかくお金を沢
山持っている人の勝ち。
運の要素が極端に少なく、1.の手番の入札に登場する手番タイルと電
力価格の上昇ぐらいしかない。また、機械の初期配置に関しては人数
での変更及びランダム配置されるタイル 3 枚(6 枚中 3 枚選ぶ)はあ
るものの、実質はほぼ毎回一緒。
手番の有利不利がかなりある割に、初回がなぜかランダムに手番が
決まるので大雑把に思えた。初回での手番が決まった時点での所持金
調整が無いのが不思議である。
全体的なルールはあっさりしているため個人ボードのパラメータの調整
に全力を注ぐことが出来る。ちなみに、競りは単純なものであるが、手
番のウエイトが高いゲームなため重要である。
雑感としては、3人プレイ推奨だと思えた。5人でプレイした時は、遅れ
を取ってしまった場合、拡大再生産なゲームのため挽回が難しいし、
人数により機械の数の調整はあるもののかなりシビアな調整となって
いるため人数が増えれば増えるほど、後手に回ってしまったプレイヤー
が相当辛いプレイを強いられる様に思えたからである。また、長考しが
ちなシステムなので、ダウンタイムがかなり長いというのもある。
自分の工場が拡大していく様はなかなか楽しめるし、終始お金の調整
でかなりシビアな運用を求められるので、ゲーマー向けであろう。使用
する機械の選択肢があまり広くない様に思えたので、ゲームの展開は
似たような感じになりそうに思えた。
終盤省エネがかなり重要になるあたりであるとか、季節労働者を雇い
一時的に人員増強を行ったりとか、機械とロボットは1対1の組み合わ
せとしなければならないとか、所々に面白い要素は入っているので、
上手くゲームが機能した場合は、なかなか楽しめるとは思う。
ただ、オリジナルの『電力会社』ほど魅力的なゲームではないのはたし
かであるし、個人ボードを使用するゲームの中では抜群に完成度が高
い訳ではない。要は中庸という感じだろうか。
ルールがシンプルなのはかなり良い所で、深い戦略性は生み出せない
かも知れないが、ゲームの妙を引き出しやすいのは良いところ。少なくと
もルールの解釈で悩む部分は無かった。
結論としては、3人が良いゲームだと思う。