『ミドルキングダム(Middle Kingdom)』について整理してみる。

『Race For the Galaxy』の作者で有名な? トム・レーマン
作のバッティングゲーム。2 年ぐらい前に買って、身内の中
ではルールが意味不明でクソゲーの烙印を押された悲しき過
去を持つゲーム。

まず、悪いところを列挙しよう。
・カードの質が悪い。
・ルールが非常に分かりづらい。
・説明書のルールに曖昧な記述がいくつもある。
・カードがダサイ。
・カードゲームのくせにゲーム中に考慮しなければならない
手続きが多すぎる。
・勝つための方針が初心者だと全く分からない。
等々

で、良く分からないクソゲーというイメージを持ってしまった。
トム・レーマンでも面白くないゲームを作るのか。弘法も筆の
誤り とか思ったものである。

久しぶりに過去のゲームを整理する事にして、この『ミドルキ
ングダム』について調べてみると、以前不明瞭だったルールが
明らかになり、そもそも以前プレイした時はルールそのものが
誤っていた事が分かった。

で、数日前に遊んだ結果では、皆高評価であった。BoardGame
db に感謝である。

バッティングゲームの名作『はげたかの餌食』をベースにした
事は間違いないこのゲーム。『はげたかの餌食』は極端に単純
なルールながら、究極に近いバランスによりゲームが成り立っ
ており、名作として誉れ高い美しいゲームである。

はげたかの餌食の基本ルール
・場に出たカードを皆で競り落とす。
・スタート時手持ちのカードは皆一緒。
・カードは一斉公開され、バッティングした場合はそのカード
は無効となる。

基本は以上のルールなので、シンプルな事この上ない。また、
ゲームの終了も手札が無くなると終了なので分かりやすい。
得点計算も、落札したカードの合計点となる。

一方、『ミドルキングダム』は、それに様々な要素を組み合
わせて、かなりごちゃごちゃしたイメージの受けるゲームで
ある。ルール説明したときは皆 (?_?) という感じであった。

・出したカード(Reset)を回収するカードがある。(はげたかは
出し切り)
・出したカードは全て公開する必要がある。(カウンティングが
いらないのでより緻密なプレイが求められる)
・もしバッティングした場合は、次回にその数字を持ち越した
ままプレイを続行する。
・2回連続でバッティングした場合は、解決方法が煩雑。
・3回連続ではバッティングせず、2回目のバッティングで解決
を行う。
・Reset カードは、通常は数値としての価値を持たないが、
バッティングが発生した場合は、一番弱いカードとして数値
としての価値を持つ。
・落札対象のカードは5種類もあり、それぞれ得点計算の方法が
違う
・種類毎に最大保持者を確認し、特殊能力を得る事が出来る。
・特殊能力は解決が厄介な効果のものが多い。
+ 皆がカードを公開したあと、落札カードを出す事が出来る。
+ Reset カードを出したあと、落札カードを出す事が出来る。
+ カードが常に +0.5 されバッティングしなくなる。
+ 落札されなかった余り物カードを1枚取得できる。
+ 特定種類のカード 1 枚をその他の色のカード 2 枚として扱
って良い。
・最下位?の人はカードを一方的に取得できる特殊カードを使える
・全てのカードを1枚ずつとらないと減点される。

まあ、こんな感じでやたらとルールが多い上に、特殊判定が多い。
結果的には、全てのルールをキチンと把握した上でプレイを行う
と結構良いゲームである事が分かった。得点源が分かると格段に
面白くなる。

また、このゲームの面白い(斬新?)ところは、必ずしもカードを
落札する事が良いわけでない所が良いと思った。カードを落札し
て得点を得るゲームなのに、逆説的だが負けている場合は救済処
置があり、これが非常に強力なためあえてカードを取らないとい
う選択が生まれる変なゲームなのである。

また、得点を得る方法がいくつかあるという事は、勝ち筋がいく
つか用意されているので、ゲーム内に多様性と深みをもたらす事
に成功している。

いまでは、さすがトム・レーマンの作品だ。面白い! と評価が
180 度逆転したほどである。

ルールが分かりづらく、慣れを要するゲームであるが、なかなか
完成度は高いように思えた。繰り返しプレイに耐えるゲームはそ
れだけで優秀なのである。

ちなみに、カードはスリーブに入れると良い。生のままだと、
ザラザラして手触りが非常に悪いので、それだけでプレイしよう
という意欲を削ぐので。

個人的には、4人専用ゲームに思えたが、どうだろうか。