高い城の男

ドゥイツ
フィリップ・K・ディックの初期の作品。

たらたら、読んでる。世界第二次大戦で、ドイツと日本が勝ってアメ
リカが負けたら…みたいな話。これだけ聞くと、全く面白そうに思え
んが、初期の傑作と名高い本作。しかし、まだいまいち面白いと思え
んのよね。序盤だからかな。なんか自分が乗ってこないのよねー。

ディックの描く SF の世界は、酷く陰湿で陰鬱で、文明の果てには、
こういう悲しい世界が待っているのかというような不安を煽る世界が
凄く多い。そう言う意味では、アメリカ人が好むような SF 映画的な
派手なドラマ性はあまりなく、最後に沸き上がってくるようなにじみ
出てくるようなじわりじわりと終末に向けて盛り上がっていくタイプ
の作品が多いである。(当然の如く、スペースオペラ的展開も出くわ
した事がない) おまけに、やたらとバッドエンドが多い。また、独特
の世界観をまるで観てきたかのように克明且つ静かに語る繊細さもあ
る。設定ありき、舞台装置ありきの作家なのかもしれん。

このブログで紹介済みの本以外には、別の作品も読んでいて『ヴァリ
ス』は、崇高すぎ、キリスト教的すぎで挫折。『流れよ我が涙、と警
官は言った』は、読破したが、正直つまらんかった。珍しく三文小説
的というか、ハルキ的というか、ベタに感情を煽るというからしくな
いつくりというか。まー、起承転結みたいなのがないのよね。だらだ
ら書いた文章っぽくてしまりがない。『パーキー・パットの日々(短
編集)』は、結構面白かった。意外性はないモノの堅実な作り。

ディックの作品って、凄いムラがあるんだよね。巧い時は、さすがデ
ィック、人の出来ない事を平然とやってのける。そこにしびれる、あ
こがれるぅ。と思うのだが、下手な時は、たらたら三文小説書いてん
じゃねーよ と思ってしまう。

あと、全体的にアメリカ人だからか、宗教的な要素があると、キリス
ト教的な世界観を持っているのが良く分かる。

やっぱり中でも傑作は、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で
決まりだ。映画『ブレードランナー』よりずっと良い。人間の欲の果
てに出来き上がった救いのない世界がしびれるゼ。

まー、本人は薬物依存のある人だったらしいが、この手のタイプの人
間は天才なのかもしれん。世間が見えすぎてしまって、愚かに思えて
しまうとかさ。あるじゃない、そういうの。作品の中に生き甲斐を見
いだす。世界を作るとかさ。嗚呼、被虐的なロマンティストだね。


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