2016/04/21 – 最下部に追記(もしかしたら解決?)
2016/04/23 – 海外掲示板や今後の拡張について追記
この記事が全く見当外れであるのであれば、それがベストです。
こんにちは。
今回は、アンドロイド:ネットランナー (Android: Netrunner) の最近流行りのデッキについて書いていきます。かなり長文になってしまいました。要点としては、このカードって存在意義が私には良く分からないと言う事を長々と書いています。
英語版に慣れているので Asset はアセット(国内版では、資財)、Agenda はアジェンダ(国内版では、計画書)、ICE は略語なのでそのまま表記します。
拡張セットのカードの効果が分からない部分は、読み飛ばして頂いても問題無いと思います。全て子細に触れていくと、更に長くなってしまうのでカードの解説は必要な部分だけに留めました。気になる方は、最下部の参考 URL から調べていく感じになると思います。
導入部分…
Mumbad Cycle の Kala Ghoda で登場した 2 枚のカード(Mumba Temple と Museum of History) この2 枚のカードかなりまずいんじゃないかと思っています。まず、カードの効果を整理します。
Mumba Temple
中立 アセット : Alliance – Facility : レゾコスト1 トラッシュコスト3 影響値 2
効果: ICE の枚数が 15 以下であれば、このカードの影響値は 0 となる。
循環クレジット 2
このクレジットはカードをレゾするときに使用できる。
Museum of History
中立 アセット : Alliance – Facility : レゾコスト1 トラッシュコスト3 影響値 2
効果: あなたのデッキの総数が 50 枚以上であれば、このカードの影響値は 0 となる。
あなたのターン開始時に、アーカイブにある 1 枚のカードを R&D 入れてシャッフルする事ができる。
まず影響値を 0 にするための条件が、アセット並べる事が前提のデッキにとってほぼデメリットではない(と私は思える)というのが、まずいかなと。
どのように機能するのかと言うと…
1. 適当にアセットを並べて、ターン開始時に Mumba Temple でレゾしまくります。
2. 放っておくとアセットの効果がどんどん強くなります。
3. 仮にトラッシュされたとしても、Museum of History でトラッシュされたカードを R&D に復旧できます。しかも、R&D の一番底ではなく、シャッフルするので出現率アップ!
4. レゾコスト 1 なのに対してトラッシュコスト 3 なので、クレジットのレースを行うとランナーがとても不利です。
5. Mumba Temple の効果は場所の指定がないので、ランナーにランされた場合は ICE もレゾできます。
6. では、ランナーが Mumba Temple と Museum of History をトラッシュする事を実行すると…
7. それぞれ 3 枚積み出来るので、別の Mumba Temple と Museum of History が場に出て来て、トラッシュされた Mumba Temple と Museum of History が R&D に戻ってしまい、再度アーカイブと R&D が循環してしまいます。
8. ランナーがクレジットレースに疲れた頃に、おもむろにコーポがアジェンダをセットして得点化を行って終了。
9. 長期間放置しておくと、アセットの数が信じられないほど並ぶため (しかも、全てレゾされる) 恐ろしいシナジーを発揮します。アセットを並べること自体にコーポのデメリットがほぼないので、妨害されなければ並べ続ければ良いのです。
こんなの(アセット12枚目)とか
こんなの(アセット19枚目)
補足として、更に恐ろしいことに Mumba Temple と Museum of History は Alliance というサブタイプを持っています。Weyland の 新カード Mumbad City Hall は 1 クリック消費して、その Alliance のカードを R&D から探し出してインストールするという効果を持っています。(使い捨てではなく、クリックを消費すれば何度でも使用可能)
ちなみに、私は勝手にこのタイプのデッキを “ゾンビデッキ“ と呼んでいます。トラッシュしても復活しますし、ワラワラ数の暴力で攻めてくるので。ま さ に 悪 夢!
まとめると、このゲームの前提として捨て札をむやみに操作できないというのがありますが、それが覆ってしまうとなんのためにトラッシュするのかが良く分からなくなってしまうと言うところと、どのカードでもレゾ可能な循環クレジットが破格のコストであるため、コーポがクレジットを貯めずにレゾし放題になってしまいがちであるというところと、無駄にゲームが長引く という 3 点があると思います。
んで、サンプルデッキ (あまり構成に悩まず短時間で組めます/笑)
the Zombie Deck (Project Mumbad)
Industrial Genomics: Growing Solutions
Agenda (8)
1x Fetal AI
3x Global Food Initiative •••
1x Philotic Entanglement
3x The Future Perfect
Asset (30)
2x Bio-Ethics Association
1x Clone Suffrage Movement ••
3x Hostile Infrastructure
3x Jackson Howard •••
2x Mumba Temple ••••
1x Mumbad Construction Co. •••
3x Museum of History ••••• •
2x PAD Campaign
2x Project Junebug
3x Ronin
2x Shi.Kyū
3x Shock!
3x Turtlebacks
Upgrade (1)
1x Cyberdex Virus Suite
Operation (6)
2x Diversified Portfolio
2x Mushin No Shin
2x Neural EMP
Barrier (2)
2x Hive ••••
Code Gate (3)
3x Crick
Sentry (3)
3x Komainu
Other (1)
1x Excalibur
15 influence spent (max 15)
22 agenda points (between 22 and 23)
54 cards (min 45)
Cards up to Democracy and Dogma
Deck built on http://netrunnerdb.com.
コーポの方針…
そのほかには、NBN の Near-Earth Hub や Weyland の Gagarin Deep Space を使うタイプもあります。おそらく Jinteki の Industrial Genomics (通称 IG) がもっとも凶悪だと思います。
基本的に方針はどの ID も一緒で、早い段階で Mumba Temple と Museum of History を場に出します。Turtlebacks も出るとなお良いです。これで、アセット並べるだけでクレジットが勝手に増えるのと、並べたアセットを Mumba Temple でレゾしていく準備が整います。
あとは、適当にアセットを並べつつ 6~15 枚ぐらいのあたり(懐加減で適当に調整/笑)で Diversified Portfolio を打って、更にクレジットを増やしつつゲームを展開していきます。上手く事が進むと 20~30 クレジットぐらい貯まります。
デッキ構築のノウハウも単純で上記は Jinteki 版ですが、ほかの ID でも適当なトラッシュコストが高くコーポに有利に働くアセットを選択すればよいのです。Daily Business Show など。
プレイングのコツは先に述べたとおりで、基本的には適当にアセットを並べるだけでほぼ機能してしまいます。ICE はほとんど中央サーバー用です。
さて、どういうわけかこのネットランナー…近年の拡張ではアセットが異様に強化されている様に感じます。それをさらに強化するカードが出て来てしまったため、私としてはゲームが破綻している様に思えてしまいました。
一方、ランナーは…
さてここまでが長いお膳立てで、このデッキにどう対処すればよいのか? と言うのが本題です。
いくつか方法はある様ですがあまり決定的ではありません。また、私個人で勝手に考えたものなので、もっと良い効果的な方法があればコメントを頂けると非常に嬉しいです。
1. ICE が薄いので Account Siphon を打ちまくって、クレジットを削る。
これは多少は有効ですが効果が薄いです。なぜなら、アセットを並べる事自体にプレイコストがかからないので、適当に数を並べて Diversified Portfolio (コスト 1 なので安い)をプレイすれば、クレジットがかなり回復してしまうからです。
2. ICE が薄いので Keyhole で R&D を削る。
うーん、これもそれなりには有効という感じですね。アジェンダが薄い事が多いので、アジェンダのヒット率が低いです。トラッシュされたカードは、基本的に Museum of History で復旧されてしまいます。また、全くノーガードというわけでもないので永遠と KeyHole を打つわけにも行かないと思います。ランナーのクレジットが足りないです。
3. Chakana や The Source でアジェンダの獲得を遅らせる。
これもそれなりには有効です。ただ、Weyland には効果が薄い様です。新カードである Mumbad Construction Co. では、ターンが経過してしまうとクレジット消費でアドバンスを行われてしまいます。
4. トラッシュ用循環クレジットを持つ Paricia や Scrubber、もしくは Desperado でまともにトラッシュする。
最近の拡張セットではアセットが強いので、これもまずまず良い選択ですね。ただ、この手のカードを大量に入れても他のデッキに強いわけではないのが辛いところです。(汎用性に欠ける対処法) ただし、Desperado は汎用的です。
5. Hacktivist Meeting で、アセットをレゾするときに HQ からカードをトラッシュさせる。
これは比較的現実的な対策かもしれませんが、Anarch 以外で Hacktivist Meeting これを 3 枚入れると言うのも酷な話。あと、上手く行くかどうかが運によるのが、なんとも…
6. Noise のウィルスデッキ。
これはかなり良いです。これが今のところ一番良いと思っています。
ID の能力で R&D からカードを削る能力があります(それなりに速度が速いのがよい)し、Imp でトラッシュも無料で行えます。Aesop’s Pawnshop でクレジットの管理も楽ですし、Déjà Vu で使用済みカードの復旧が手厚いのも良いです。Clot でファストアドバンスにも対処できますし、Archives Interface でやっかいなカードを除去できるのも心強いです。やや限定的ですが、Medium + Demolition Run で R&D のカードを強引にトラッシュできるのも良いです。また、このデッキの良いところは汎用性を持つので他のタイプのデッキとも勝負になるという所ですね。
7. Apex + Apocalypse で全てトラッシュする。
ほぼ番外ネタですが、相当有効! 多分、一番のアンチとなると思います。そもそも並べられたアセットなんて無かったことにすればよいのです。ただ、中立 ID を採用するという特殊環境になってしまうので、にんともかんとも…
全般的にですが、ICE が薄くコーポとしてはアジェンダを直接守る気がないため、やっかいなアジェンダを入れていることが多いです。ということで Film Critic がかなり有効に機能することが多いと思います。
また、得点化までが長引きがちなので Current が有効に機能すると思います。
最後に…
まぁ色々書いてみたものの基本的に対戦する側 (ランナーとしては) としては、相当つまらないデッキと対戦している気分になると思います。伏せられたカードはほぼアセットなので駆け引きが無く、ランナーが順番にトラッシュしていくだけか、もしくはコーポがアセットを並べていくだけの作業になりがちです。
その後、適当なタイミングでどちらかが息切れしてゲームエンド。うーん、これじゃ元々のゲームコンセプトと違いすぎるのではないですかね? FFG さん…と言った塩梅ですわ。
ランナーに明確な対策カードが無いというのが、やっぱり辛いところでしかも汎用的に使えるものでないと望ましくないわけです。というのは、ランナーとしてはこのデッキばかりと対戦するわけでもないですし、コーポは各種アセットが沢山揃っているからどのカードから切り出しても良くそれほど相手を選ばないというのが、ランナーとしては辛いところ。
仮に対策カードがあったとしても、それがランナーは早い段階で引けるかどうかにかかってしまいます。
また、ゲームが停滞しがちで無駄に長引くことが多いです。例えば、コーポのターンで開始時に Museum of History で 2 枚 R&D に戻し、そこから Jackson Howard で 2 枚引いて、2 枚アセットをインストール。ランナーのターンで、その 2 枚をトラッシュ。以下繰り返し。
なんだかなぁと感じるわけで、Mumba Temple と Museum of History が無くても十分面白かったんじゃないかなぁと思ってしまいます。
この記事を書くにあたって、他の方からいくつか助言を頂きました。ありがとうございました。とても参考になりました。
2016/04/21 追記分
一縷の光明が…
Whizzard + Employee Strike がかなり有効であることが分かりました。ID は引きに依存しないので、トラッシュ用循環クレジット 3 は必ず有効です。アセットが最近強いので、ID の能力も無駄になりにくいです。また、Employee Strike はコーポの ID の能力を無効化するため都合がよいです。影響値 1 で汎用性が高いのもいいですね。
この構成ならコーポに、無理矢理普通のネットランナーを強要することが可能です(笑)
それでもランナーがつらい気がしますが、大分良いゲームになると思います。
ただ、他のランナーの ID で何か良い方法が無いかなと思ってはいます。
2016/04/23 追記分
別の観点で…
stimhack (英語サイト) の掲示板
http://forum.stimhack.com/t/has-netrunner-become-boring/7300/
とても有意義な議論がされています!
アセットを並べまくるゲーム (the asset spam game) について議論されています。拡張セット 4 個目 (SanSan) と 5 個目 (Mumbad) のパックの中に含まれているカードの中でアセットの比率がとても高い事が分かります。やはり、アセットが強化されている事が伺えます。(数が多いと言う事は選択肢が広がるので)
大まかな話の流れとしては、ICE / ICE ブレイカーのやり取りに比べて、アセット / トラッシュのやり取りは選択肢の幅が狭すぎるのではないか? という問題提起から始まっています。
そこから、私が既に述べたような対策カードが上げられていたり、Museum of History は壊れているだとか、毎月のようにカードを発売するのでバランス取りが難しいとか話されているようです。Museum of History をユニークカードにすれば良いだとかデッキ 1 枚制限にすると良いのではないか等のアイディアも出されています。ただし、ユニークカードにしても問題は解決しない事も話されています。
つまるところ、ネットランナーが悪い訳ではなくて Museum of History 自体に問題があるのではないか と言う様な話になっているようです。海外の人達も同じ事を感じているようで、良かったです。
今後の拡張について…
Mumbad Cycle の Salsette Island に登場する「ターンに一度トラッシュしたカードをゲームから除外する」と言う効果のリソースが加わるようなので、それに期待ですね。これであれば、時間はかかりますが順次アセットを消していく事が可能なので。
ただ、これも元々のコンセプトと違うような気がします。そのカードで対処したとしても、駆け引きがないというのは相変わらず変わってません (^^;; レゾされたのを見てから、ランナーは動けば良いわけですから。
アセットをインストールすること自体にコストが不要なことと、際限なく遠隔サーバーが増やせることが問題な気がします。また、アセットの多くはクリックが不要かつ条件で起動するため、配置すればするほど効果が強くなってしまうという所もあります。(余ったクリックでコーポは別の事ができる)
またまた最後に…?
オンライン対戦でこのデッキに付き合って頂いた外国人の方々に感謝。「やれることがなくなった」と言われたりとか、Rage Quit も結構ありました。おそらく他の方も宜しくないと感じているんですよ、このデッキ…
参考 URL:
netrunnerdb.com – カード検索(英語)
奇跡家分館 – 和訳ルールの部屋
ANDROID:NETRUNER 全カード日本語解説
初めまして、時々読ませていただいております。
この件に関して流石に公式でも何かしら手は付けないとな、と思ったようで
Museum of Historyが7/18付エラッタでユニークになり、
Mumba Templeが8/1付でNAPD Most Wanted List入り、となるみたいですね。
これでどの程度状況が変わるか……