久々にレビューでも書くとする。相当数新作ゲームの数はこなして
いる方だと思うんだが、ガツンとパンチ力のあるゲームは少ないも
の。
『コールトゥグローリー』- Call to Glory
2012 年発売。対応人数 2-4 人。ルール説明含め都合 1 時間。
シャハトの『クレイジーチキン』のリメイク。『ドライブ』のリメ
イクでもあるらしい。
基本的なルールは確認する限り変更は無しで、細かい調整がかかっ
ている。本作のオリジナルルールに関しては、バリアントルールが
2 つ用意されていて、自由に追加可能となっている。
ゲームとしては、典型的なセットコレクト系のゲームで、ルールも
シンプル。複数回プレイして勝敗を決めるゲームとなっている。プ
レイ中に行う内容は、手札の管理と捨て札の選択のみとなっている。
似たようなゲームを沢山プレイしたことがあるが、その中でも良く
できたゲームだと思う。場が暖まるまで少し時間がかかるのが残念
ではあるが、とは言え 1 ゲームは 15 分前後だと思われ、序盤の
カード調整が比較的重要なゲームではあるから仕方ない部分もある。
計画と見切りが重要だと思う。捨て札も回収可能なので、カードの
引きによる揺らぎはある程度押さえられている。
バリアントルールについて記載すると、1 つは目的カード(特定の色
のカードを集める事で追加のボーナス有り)に相当するもので、ゲー
ムの方針決めに役立つし、特定のカードを複数枚プレイすることの
メリットが生まれる。通常ルールであると、特定のカードを手厚く
プレイしても崩されにくいという点では優位ではあるのだが、得点
に結びつきにくいので適度にバランス良くカード構成を組む方針が
良いと思われる。バリアントルールの目的カードを導入することで
1 点突破を狙えるようになるため、打ち筋が増えるように思えた。
バリアントルールの目的カードは、やや得点バランスが大雑把にな
ってしまう様な感はあるが、複数回プレイして勝敗を決めるため、
そのあたりで調整されるような気もする。
もう 1 つのバリアントは、ニンジャ [14] のカードをプレイするこ
とが出来るとニンジャフィギュアをゲット出来る。そのフィギュア
を使って、相手のプレイ済みのカードを 1 枚崩すことが出来るとい
うもの。これは一定枚数をプレイしてしまうと安泰になってしまう
ゲームシステムに揺らぎを加える事が出来るため好印象であった。
終盤に上手いタイミングでニンジャが炸裂すれば、逆転も可能であ
る。
両バリアントルールをやや大味になったと見るか、ドラマ性が上が
ったと見るかは人それぞれであるが、私としてはバリアントルール
を導入した方が良いゲームになると思えた。それほど複雑な拡張ル
ールでないのも有難い。
全般的にはリメイク作品であり、古典的なドイツのボードゲームで
ある。ゲームとしては良くできたゲームであるし、比較的コンパク
トに纏まっているので重宝しそうなゲームである。
『銀杏都市』- Ginkgopolis
2012 年発売。対応人数 1-5 人。ルール説明含め都合 1 時間。
『トロワ』、『トゥルネー』の作者の 1 人が作ったゲーム。初回
は、1.5 時間ぐらい見ておいた方が良いかもしれない。
一応、1 時間ゲームであるが、システムがややこしいのでゲームに
ある程度慣れた人向けであろう。基本は、ドラフトを行い 3 種類
のアクションの内 1 つを選択して、特殊能力を駆使しつつ、マル
チパス方式 (勝ち筋が複数存在) を上手く乗りこなすゲーム。うー
む、やっぱりややこしいゲームだ。
ゲームをややこしくしているのは、基本の 3 種類のアクションで
ある。それぞれルールが込み入っているし、ゲーム開始時から色々
な要素が絡むため消化不良を起こしてしまいかねない作品だ。おま
けに、言語依存がないので、全てアイコンで表示されており比較的
分かりやすいデザインではあるが、初回はルールの確認に追われる
ことになりがち。
この作者の特徴として、序盤かなり見通しが悪いという部分がある
のだが、それは本作でも同様であり何を指針にプレイして良いか分
かりづらいという欠点がある。気付きのゲームなのかも知れない
が…
さて、そのあたりをクリアして 2 回プレイした感じでは、ドラフト
+ 陣取り(個人攻撃可能) + 特殊能力 + 拡大再生産 + 終盤のボーナ
スカード + 複数の勝ち筋(得点源) みたいな感じでかなりゴチャゴ
チャしたゲームだと思えた。完全にゲーマー向けだろう。
基本的に同時解決なので、プレイ時間が比較的短いのが救いだ。ゲ
ームの得点バランスはプレイ回数を重ねてみないと分からない部分
が多いのではあるが、やや危うい部分があるものの比較的整合性が
取れていると思えた。
ゲームとして面白い部分はと言われると、特殊能力を上手く使いこ
なす部分に集約され、ドラフト部分の計画性はやや薄めと思えた。
明らかにまずいカードはカットするものの毎ターン追加カードが投
入されるため読み切れない部分が多い。陣取りに関してはそれなり
に計画的に進める事が可能であると思えたので、そのあたりに駆け
引きはあるように思えたが、ギャンブル性は高いと思えた。一番計
画的に進める事が出来る部分は、やはり特殊能力をどのように組み
合わせていくかという部分で、序盤出遅れるとやや辛いように思え
た。
ゲームとしては私はかなり気に入ったが、ややこしい部類のゲーム
ではあると思う。複雑なルール & 複数プレイ前提のゲームで公称 1
時間以内というのは、様々な要求を満たしていて感心した。
Pearl Games は、注目すべき新興ゲームメーカーだ。一時期の alea
や Ystari ぐらい良いデザイナを抱えている様に思えた。
『ドミニオン 暗黒時代』- Dominion Dark Age
2012 年発売。対応人数 2-4 人。ルール説明含め都合 30 分。
うーん、このゲーム基本セットがシンプルで良い気がする。テキスト
の効果がゴチャゴチャ書いている割に基本セットでやっている事から
脱却できていない様に思えた。拡張ルール(?)もシンプルに押さえら
れているが、本質は一緒なので…
例えが正しいか分からないが、パチンコ台に近いような気もする。中
の機械を入れ替えているが、システムはまったく一緒みたいな。結局、
特定のカードがやたら強くて、それが気に入らないなら初期セットア
ップのカードを変えろというシステム。そもそも、バランスなど取る
気も無いのかも知れないが、そうであるなら多様な効果が欲しい所。
なんだか書き方が違うだけで見たことあるような効果のカードが多い
気がした。
やっぱり基本となるルールが複雑で、短時間で終わるゲームの方が私
は好みだ。つまり、『世界の七不思議』や『レースフォーザギャラク
シー』の方が好み。拡張も打ち筋が多様になるし、バランスも調整さ
れる。
『キーフラワー』- Key Flower
2012 年発売。対応人数 2-6 人。ルール説明含め都合 120 分。
キーシリーズを初めてプレイ。エッセン 2012 でも話題作であったの
でやや期待していたが、すこし期待が大きすぎたように思えた。
ゲームとしては、昨今のゲーマーズゲームらしく言語依存が無くて、
やたらと捻った複雑なルールで、マルチパス(勝ち筋が複数存在)方式
を取っている。
ゲームのシステムで特徴的なのは、競りでマストフォローを採用して
いる部分だろう。高度なプレイとなると、競りの時に人数分カウンテ
ィングしてビットするなんて事になるのだろうが、普通の頭では到底
不可能な話。おまけに、ビット時に利用するお金となるワーカーは、
突然増えて湧いたりする。と言う訳で、なんだか無茶なシステムに思
えた。私がプレイした範囲では、勘で決め打ちするしかなかったので。
拡大再生産を採用しており、終盤にボーナスタイルで得点を稼ぐ方式
となっている。このボーナスタイルであるが、あまり得点バランスが
良いと思えず、1 リソースに対するそれぞれの価値がやや大雑把に思
えた。
それでは、各ボーナスタイルの価値を把握してプレイすれば良いので
はないかと言う事になるが、プレイ時間が比較的長いので複数回プレ
イしようとは思えなかった。終盤の競りも雑になってしまう(欲しいタ
イルが各人の方針により固定的になり絡みが少ない)のも残念に思えた。
まぁ、私には合わないゲームと言う事なのだろう。
『クー』- Coup
2012 年発売。対応人数 3-6 人。ルール説明含め都合 30 分。
役職(特殊能力)を使った正体隠匿系のゲーム。
ゲームのシステム自身でゲーム自体を収束する様になっているので、
短時間で楽しめる手軽なゲームと言ったところか。基本的に、口プレ
イが横行し、ギャンブルを打たなければならないあたりに好みが分か
れそう。
カードの枚数が少ない割にややルールが煩雑に思えたがどうだろうか。
私としては、新興メーカーのゲームと言う感じで、次回プレイしたい
かと言われるとそれほどの作品でも無いような気がした。
総評:
しっかり遊んだ気分になれるゲームと言うのは重要で、それなりの
思考性と他のプレイヤーとの駆け引きが私には重要な要素に思えた。
ゲーム全体のバランス調整がきちんと効いているゲームが好きで、
ルールが複雑な割に特定の方針が強いゲームは、私は破綻している
と思う。全てのルールがきちんと機能していることが肝要。
きちんと機能しないルールであるなら、ゲームシステムから切り捨て
て無い方が良い。まぁ、当たり前なのかも知れないが、最近は無駄に
複雑なルールのゲームが多い様に思えたので、何となく書いてみた。