一昨日ぐらいに MonitorAudio GS20 の設置が終わった。一通り聴き終わったので、感想をば。

付属のスパイクは使うのはやめた。まぁ、気が向いたら使うかも。スパイクを使うとセッティングを追い込むのが大変なんだよね。付属のスピーカーベースは結構重量があって、しっかりした作りなのでこれだけでも問題ないかと。高さが多少足りなかったのでお約束のブロック(発泡スチロール製)を使い回す事にした。高級感という観点では、イマイチだが取り回しが楽で耐荷重も 30Kg で、おまけに安い。これ以上の品を探すのはなかなか難しいんじゃないかと。オーディオと名が付くとなんでも高いので…。

開梱 => 仮設置 => 本設置 と相成った訳だが、全体的に丁寧な作りで、これと言って特徴的な部分もなかったので簡単なインストマニュアルを見つつ小 1 時間で設置完了。スピーカーケーブルの取り回しに多少苦労するも、シングルワイアでとりあえず仮置き。

一聴した感じでは、凄く良いという感じはないものの何かを期待させる優雅な響きであった。

さて、設置後すぐに友人が来たので、試聴は一旦中止。ガストで食事を取り少し雑談をした後、部屋に戻り聴き込んでみるが、店頭で聴いていた音のイメージを崩すことなく家でも鳴ってくれたので、良かった。

D-77MRX に比べると音の回り込みや分厚い音が無くなり、スピード感のあるシャープな音になった気がする。音作りが非常に細やかで音の粒子 1 つ 1 つの密度が高く際だって聞こえる。まるで研磨剤で磨いたかのように 一音一音艶やかで繊細だ。キンキンする音かというとそう言うわけでもなく、音の重さが軽やかなので、耳からスッと抜けていく歯切れの良さがある。雰囲気重視の重厚な音楽には向かないかもしれないが、軽快で明瞭度の高い音なので、ピアノ、ギターなどの室内音楽の音抜けの良さは格別だ。低音は、30cm 口径のウーファーを使っていたので、どうなるかと思っていたが、思っていたより低音が出る。こちらも、歯切れの良い音を聞かせてくれる。
全体的にイメージ的なものだが、英国らしい気品のあるサウンドに聞こえる。D-77MRX は癖のないサウンドであったが、GS20 は解像度重視に思える。女性ボーカルの良さは特筆もので、しっかりとした定位感、女性特有のしなやかで伸びやかな発声の再現性ともに申し分ない。
デザインは、特筆すべきものが無いが、ROSEWOOD を選んだので、無難で飽きの来ないデザインに思える。プレートやユニットを見ても正確で確実な仕事のしてあるように思える。

その後、Audio Quest のケーブルがバイワイアに対応しているので、バイワイア接続する。うーん、あまり違いが…次々と新しい環境に変更しすぎなのかもしれん。シングルワイアと比べ音の劣化も無さそうなので、バイワイアで常用することにする。

照明を落とし、色々聴いてみる。女性ボーカルものと単音系の静かな曲の良さは素晴らしい。

Ayreon 『The Human Equation』(かなり録音状態が良い)
Wife 役 Marcela Bovio (Stream Of Passion) の歌声があまりに美しすぎて昇天してしまいそうになる。
ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第 2 番
弦の響きが高級感があって良い。大編成のオーケストラの規模感の表現は苦手に思えるが、音 1 つ 1 つを拾い上げる細やかさはなかなかのもの。複雑な音を再現する能力はそこそこのようだが、ピアノソロの甘美なメロディはかなり聴かせてくれる。
ラフマニノフ ヴォカリーズ 作品34の14
コチェシュの編曲の繊細な 1 曲。悲しい出来事があった夜に 1 人でしとしとと思いを鍵盤に打っているような気分のある曲なだけに、繊細な再現性が求められるが、GS20 はかなり良い仕事をしている様に思えた。ピアノの滑らかな響きを的確に磨き上げ音の粒子をより美しく際だたせている様に思えた。最後にスッと消えていく音の余韻が心地良い。

設置するまでは、めんどくさくて D-77MRX にかなり愛着があったのであまり変わらないのではないかと思っていたが、聞き込んでみると確かに熟練工の手による確実な音作りと高度且つ緻密に計算された設計が見事に融合しているように思えた。少なくとも、自分の好みの音造りだったので、満足度は高い。

これから、鳴らし込むとどう変わるかが楽しみである。モニターオーディオ恐るべしである。