戦略を作戦に変える – 『センチュリースパイスロード編』

※ 今回も長文です。『センチュリースパイスロード』の要点だけ知りたいのであれば最後に記載済み。

前回の記事でボードゲームにおいて戦略とは、「勝利できるやり方」とした。しかし、これでは抽象度が高すぎて、自分の手番で実行する行動を決定するレベルにまで落とし込まれていない。戦略を作戦 (もしくは、手順や作業でも良いだろう) に変更する手続きについて今回は記載していく。作戦としたのは、私の好みである。英語で言えばオペレーションなので何となく響きが良い。記事のインパクトを重視するため戦略と大それたことを前回の記事で書いてはいるが、ボードゲームで良く使われる戦略と言う用語は、私個人の感覚では戦略と言うより作戦の方が近いと感じている。

能書きが終わったところで、実際の手続きについて移ろう。以下のような手続きになる。それを具体例を挙げてやっていく。

1. ルールを読み直し要点を押さえる.
2. ゲーム内のパラメータや行動を数値化する.
3. 勝っているプレイヤーの行動指針を分析する.
4. ゲーム内でキーとなる項目を決め、目標値を設定する.
5. 目標値を達成するための基本方針を決める.
6. ゲームをプレイして検証する.
7. まとめ.

このような流れになる。最近プレイしている『センチュリースパイスロード』を例にしよう。私の戦績は 60 ゲームほどプレイしてELO 300 で勝率 75% 程度なので、そこそこ有用な記事かとは考える。

1. ルールを読み直し要点を押さえる.
プレイヤーの行える行動は、A.カードを出す。B.カードを取る。C.得点化する。D.パスとなる。A.であるが「生産」,「アップグレード」,「交換」がある。「交換」においては上限が無く何回実行しても良い。まず、これがポイントだ。「生産」や「アップグレード」はカードの価値が決まっているのに対して、「交換」は効果が青天井に伸びる。具体的な数値はあとで確認していくが、重要なのは間違いない。

終了条件を確認すると規定枚数 (通常 5 枚、2-3 人なら 6 枚) 誰かが獲得するとゲームは終了に向かう。ということは、規定ラウンドで終わるわけではない終了条件成立型と言う事になる。この手のタイプのゲームであれば、「(レースフォーザギャラクシーの) 経験上」自ら終了条件を切る方が良い。所持しているリソースを使い切って終わる形が一番良い形であるからだ。

最後に、コインであるが 3 点コインが 1 人あたり 2 枚追加されてゲームが開始される。そのため、2 枚確保する事も意識した方が良さそうだ。このあたりを考慮材料とする。

1. ゲーム内のパラメータや行動を数値化する.
次に、このゲームは基本的なリソースについては、黄1, 赤2, 緑3, 茶4 と設定できる。なぜなら得点カードをそれで全て計算するとほぼ全て合致するからである。

そのため、基本アクションの「生産」は黄 x 2 で 2 点、アップグレードも 2 点として計算出来る。実際はアップグレードが有用なのでその限りではないが、一旦このようにしよう。

つまり、基本行動の 2 点より良い行動を見つけることが大切となる。先に述べたようにゲームのルールの都合上、交換は回数に上限が無い。これが重要なキーとなる。基本行動より強い行動を取ろうと考えると、カードを取るしかない。では、カードの効率を確認していこう。一番面白い時間だ(笑)

結論から書いてしまうと、私が考える最強のカードは 2:2 交換のカードである。これは、1 回使用だけの効率だと 2 点で正直しょぼい。しかし、最大 5 回適用できる可能性があり、その場合 10 点と破格の性能になる。さらに、このタイプのカードは黄→赤、赤→緑、緑→茶 とそれぞれあることである。カード間の連携 (コンボ) を行う場合は、2 手で 20 点となるのでまず勝てるだろう。更に嬉しい事に、元が 2 個ごとなので数の調整が行いやすい。これだけの条件が整えば最強の一角である事は間違い無い。

他のカードもいくつか確認していく。基本的なカードの確認となる。

このカードは 3 点を 4 点に交換する。つまり 1 点のカードになる。最大高利率は 3 点となる。

この作業を全てのカードで実施し確認していった結果、他に私が良いと考えたカードは次の2枚である。

この 2 枚は、8 点を 12 点に変える。つまり 4点。最大効率 8 点。このカードにおいては最大で行った場合、リソースの個数が 4 個を 10 個に変えると言う点で優れていると考えた。一般に得点化を行った場合、手持ちリソースが心許ない事が多い。得点化後に上記カードをプレイする事で最大で 10 個まで復旧することができるので、次の行動に繋ぎやすいと言う点が良いと考えた。この行動を行った場合、多少リソースが溢れてしまうケースがあるが、2 個程度であれば無視しても良い程度だと考える。それよりは、リソースの数を復旧させて次の行動にスムースに移る方が重要と考える。


リソース復旧系は、他にもこのようなカードがある。4 点を 6 点に変える。つまり、2 点。最大効率 4 点でカードの効率を考えると次第点だが、リソースの個数の復旧率が高いので、これも得点化を行った後に有用に使えるカードだ。


増えすぎたリソースを減らすタイプのカードもある。こちらのカードは 5 点を 8 点に変える。つまり、3 点。最大効率で 6 点。ここで改めて、先の 2:2 交換と比べて考えてみよう。最大効率を考えると 6 点 vs 10 点。2:2 交換の勝ち。交換のやりやすさを考えても、柔軟性が高いので 2:2 交換の勝ち。リソースの圧縮という点では 2:2 交換の負け。ただ、一般的に考えるなら 2:2 交換の使い勝手の良さが光るので、2:2 交換がやはり最強カードの一角でないかと考える。

このあたりで観点を変えて、「生産」と「アップグレード」も確認していこう。

ここはサクッと確認していく。左は人気のあるカードで黄 x4 で 4点のカード。右はそこそこ人気の茶 x1 で 4 点のカード。どちらも一手で同じ価値だ。生産系のカードは後で利用傾向を確認していくが、一般的には人気のアクションではある。

ここからは私の[独自の見解]なのだが、生産カードは基本不要と考えている。なぜなら、「生産」は効果が固定的であるのに「交換」は回数を複数回利用する事で効果の伸びしろがあるから。ポテンシャルのあるカードを押さえる方が良い結果になることが多いと考えている。私は上記 2 枚のカードはほとんど採用せず勝率 75% を叩き出している。


「アップグレード」は有用だ。是非取りたい。なぜなら色々な交換カードを最大限利用するための潤滑剤としてこれ以上に優れたカードは無いからである。積極採用したいカードの1つだ。ポテンシャルが高い。

以上がカードの数値化となるが、少しでも参考になれば幸いである。

3. 勝っているプレイヤーの行動指針を分析する.
この章はいつものごとく統計情報から確認していこう。

重要な項目を確認していく。まず勝つには何勝利点が必要か。83VP 程度必要と記載されている。私の感覚的にも 85VP 程度で勝っていることが多いので、これは重要な指針となるだろう。また、コインは 3VP x2 と 1VPx2 と言う所だろうか。とりあえず、一番初めに考えた「3 点コインが 1 人あたり 2 枚追加されている」と言う点からこれも 2 枚は押さえた方が良さそうだ。

手に入れるカードの枚数である。要はデッキ構築に近い部分があるが、何枚で完成と見なすかである。傾向を見ると 9-10 枚と言う事になる。私の傾向を見ても同じなので、9 枚で完成と見なそう。

カードのプレイの方針である。一般的な勝っているプレイヤーの優先度は「交換」=「生産」、「交換(複数回)」、「アップグレードの順」である。「生産」の比重は高く、「交換(複数回)」の比重は低い。

私の場合は「交換」、「交換(複数回)」、「生産」=「アップグレード」となっている。まずアップグレードはカード総数が少ないので優先度最下位になりがちであるのは、当たり前である。しかし、私の場合そのアップグレード並みに生産が低い。これは一つの特徴であると思う。とりあえず、勝てているので今後もこのままの予定だ。

また、特徴があるのがカードを取るのに一般的な勝っているプレイヤー、一般プレイヤーとも 5-6 個程度リソースを支払うのに対し、私は 2 個しか支払っていない。データから読み取れない点をもう少し書くと、私は相手の支払った資源を取っている。なので、序盤に黄色資源を 8 個程度まで貯めることを考えている。

さて、次の章でこれらをまとめ目標値を設定してみよう。

4. ゲーム内でキーとなる項目を決め、目標値を設定する.
大体の要素は分析済みなので手短にまとめる。勝利ラインは 85VP とする。3 点コインを 2 枚取る。カード総数は (初期カード含め) 9 枚とする。( 7 枚の) カードを取るために資源は 5 個程度支払って良い。

5. 目標値を達成するための基本方針を決める.
具体的な数値は決まったので、後は方針→作戦 (オペレーション) を決めよう。私の場合はこのように結論づけた。

序盤はよほどでないとコストを意地でも払わない。相手の支払った資源を積極的に取る。カードの総数を 9 枚前後まで貯めてデッキを完成させる。カード構成は、資源の数を減らす変換と増やす交換両方揃える。1 回の交換で複数交換を上手く使う。2:2 交換が強い。
中盤は、
カードが揃ったら交換をひらすら行い続け得点化を進める。得点化後に、茶を別の資源に交換し、リソースの数を復旧させる。
終盤は一気にフィニッシュを決めて、終了フラグを自分から切る。目標点 85VP を目指す。

6. ゲームをプレイして検証する.
いままで考えてきた作戦を元に検証を行う。今のところ 75% の勝率を維持し続けている。その他プレイしていて気付いた事を書いていく。
・このゲームに限ってはカード使い切る事はあまり重要では無い.
無理して使いきるよりは、良いコンボがあるならそれをグルグル回す方が良い.
・交換後にリソースが溢れても 2 個程度ならあまり気にしないで良い.
・3 点コインは後で取っても良い. (1 枚でも勝てる)

その他参考画像

コメント: 赤枠のコンボが無限に回せる。青枠は序盤に使用し、赤枠の経路に入る用。緑の変換が多いので、緑が増えたときに他の色を揃えて得点化。

コメント: 赤枠の強カード枠を押さえた。青枠で茶を生成。アップグレード 3 で色調整。白枠でリソースの数を調整し、緑→黄→緑を作って得点化。

コメント: 赤枠のコンボが無限に回せる。青枠で茶を軸に色を揃えて得点化。アップグレード 3 で色調整。序盤は他人の黄色を集めて、元となる資源をあつめた。

7. まとめ.
手短にまとめておく。
序盤にカードの総数を 9 枚前後まで貯めてデッキを完成させる。1 回の交換で複数交換を上手く使う。2:2 交換が強い。3 点コインを 2 枚取る。終了フラグを自分から切る。目標点 85VP を目指す。

長文となってしまったが、これが『センチュリースパイスロード』で戦略を作戦に変えるために行ったことの全てである。何かの参考になれば幸いだ。もっと良い戦略を思いついたのなら、君がより良い記事を作って皆に公開欲しい。

以上、読んで頂きありがとうございました。


戦略を作戦に変える – 『センチュリースパイスロード編』」への1件のフィードバック

  1. スパイスロードお好きなんですね。もしまだプレイされていましたら、フレンド申請してください。よろしくお願いします。

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